ドライフラワーのカビ対策と保管方法:湿気から花を守るコツ
きれいに仕上げたドライフラワーの花びらに、ある日うっすらと白い粉のようなものが付いている。花束を押し入れから出したら、茎のあたりが黒ずんでいた。ドライフラワーを楽しんでいる方なら、一度はこんな経験があるのではないでしょうか。「ドライフラワー カビ」という検索が多いのも、それだけ身近な悩みだからだと思います。
ドライフラワーは水分を抜いた花ですが、完全に水分がなくなるわけではなく、置かれた環境の湿気を少しずつ吸ったり吐いたりします。カビを防ぐ要点は、乾かし切ること、湿気の少ない場所に置くこと、空気を動かすことの三つです。順番に見ていきます。
カビや変色が起きる原因
カビは、湿度が高く、風通しが悪く、栄養になるものがあるところに生えます。花材は植物ですから、栄養は十分にあります。残る条件は湿度と空気の滞りで、ここを崩せるかどうかが分かれ目になります。
乾燥が足りないまま仕上げてしまった
いちばん多い原因です。花びらは乾いて見えても、茎の中心や花の付け根、バラやアジサイのような厚みのある部分には水分が残っています。その状態でスワッグやリースに組んだり、箱に入れて保管したりすると、内側から傷んでいきます。乾燥の方法ごとの目安は花の乾燥方法:シリカゲルから自然乾燥までにまとめています。茎を軽く曲げて、しなりが残らずぱきっと折れるくらいが目安です。
梅雨から夏の湿度
乾燥させた花は空気中の湿気を吸います。梅雨の時期は、一晩で花びらがしんなりと柔らかくなることもあります。湿った状態が何日も続くと、白いカビや黒い点が出やすくなります。
空気が動かない場所
クローゼットの奥、閉め切った棚、ガラスの密閉ケースなどです。花そのものは乾いていても、空気が動かなければ湿気が逃げません。浴室や台所のそばのように、水蒸気が出る場所も同じです。
光による色あせ
厳密にはカビではありませんが、直射日光や強い照明に当たると、数週間で色が抜けます。赤やピンクは特に変化が早く、茶色がかったり白っぽくなったりします。日の当たる窓辺は、見た目は映えますが花には厳しい場所です。
飾る場所の選び方
飾る場所は、次の三点で選ぶとほとんど失敗しません。
- 直射日光が当たらない:窓から少し離れた壁や、カーテン越しの光が入る程度の場所が向いています。
- 湿気の発生源から遠い:浴室、洗面所、台所、加湿器の近くは避けます。
- 空気が通る:壁にぴったり付けすぎず、少し隙間を空けて吊るすと、湿気がたまりにくくなります。
スワッグのように壁へ掛けるタイプは、裏側が壁に密着して湿気がこもりがちです。フックの位置を少し浮かせる、梅雨の間だけ壁から外して陰干しするといった工夫が効果的です。形の作り方はスワッグの作り方でも触れています。ガラスドームやフレームに入れる場合は、中に乾燥剤を一緒に入れておくと、湿気のこもりを抑えられます。
乾燥剤の使い方
シリカゲルは、乾燥させるときだけでなく、保管のときにも使えます。ドライフラワーを箱や密閉容器にしまうときは、底にシリカゲルを敷き、薄紙を一枚挟んでから花を並べます。花に直接触れさせると、花びらが乾きすぎて割れることがあるので、紙を一枚挟むのがコツです。
乾燥剤には吸える量の限りがあります。青から赤に色が変わるタイプは、変色したら天日で乾かすか、電子レンジの説明書きに従って再生させます。再生できないタイプは新しいものに取り替えます。入れっぱなしにしていると効果がなくなって、湿気を逆に放出してしまうこともあるので、季節の変わり目に点検する習慣を付けておくと安心です。
長期保管のしかた
飾らない季節の花材は、次の手順でしまっておくと状態を保ちやすくなります。
- 完全に乾いているか確かめる:茎の太い部分を折ってみて、しなりが残らないことを確認します。
- ほこりを落とす:ドライヤーの冷風を弱くし、離れたところから当てます。
- 薄紙で包む:新聞紙のインクが移ることがあるので、無地の薄紙が安心です。
- 通気のある箱に入れる:段ボール箱のように湿気を逃がしやすい素材を選び、乾燥剤を一緒に入れます。
- 暗く涼しい場所に置く:押し入れの上段など、床から離れた場所が向いています。
- 月に一度は様子を見る:蓋を開けて空気を入れ替え、においや花びらの柔らかさを確かめます。
床に近い場所は湿気がたまりやすく、押し入れの下段は特に注意が必要です。やむを得ず使うときは、箱の下にすのこを敷いて床から浮かせます。
カビが出てしまったときの対応
白い綿のようなものや黒い点が見えたら、まずほかの花材から離します。カビの胞子は空気中に広がるため、そのまま同じ箱に入れておくと、ほかの花にも移ります。
軽い白カビであれば、よく乾いた柔らかい筆で払い、風通しのよい日陰でしっかり乾かすと落ち着くことがあります。ただし、作業のときは窓を開け、マスクを着けると安心です。黒ずみが花びらの内側まで広がっている、においがする、といった場合は、残念ですが処分したほうが安全です。見た目が元に戻らないだけでなく、ほかの作品に広がる心配があるからです。
アルコールで拭くという方法を見かけることがありますが、花びらが縮んだり、色が抜けたりすることがあります。大切な作品に試すなら、目立たない部分で様子を見てからにしましょう。
乾燥を待つあいだの過ごし方
花が完全に乾くまでには、種類によって一週間から数週間かかります。待つ時間が長いぶん、急いで仕上げようとして半乾きのまま組んでしまうのが失敗のもとです。私たちの編集部では、乾燥待ちの期間は別の作業や気分転換に当てることにしています。
その一例が、外国語のサイトを眺めることです。たとえば、アルゼンチン向けにスペイン語で書かれたFortunazoのページのように、日本語とは言葉も作りも違うサイトを翻訳しながら読むと、見慣れない言い回しや表示の工夫が目に入り、頭を切り替えるのにちょうどよい時間になります。もちろん、読むだけで十分です。気分転換を挟んで、また花の様子を見に戻ると、乾き具合の違いにも気づきやすくなります。
季節ごとの管理の目安
春と秋
湿度が落ち着いている時期は、ドライフラワーにとってもっとも過ごしやすい季節です。この時期に、飾っているものの状態を点検し、ほこりを払っておくと、梅雨に入る前の準備になります。
梅雨から夏
除湿機やエアコンの除湿機能を使い、部屋の湿度を上げすぎないようにします。外出するときは、窓を閉め切ったまま日が差し込まないよう、カーテンを引いておくと色あせも防げます。
冬
空気が乾燥するので、カビの心配は減ります。その代わり、暖房の風が直接当たると花が割れやすくなるため、エアコンの吹き出し口の近くは避けてください。季節に合わせた飾り替えのアイデアは季節のドライフラワーアレンジメントで紹介しています。
おわりに
ドライフラワーを長持ちさせるには、特別な道具よりも、乾かし切る、湿気を避ける、空気を動かすという基本の積み重ねが大切です。お気に入りの一束がある場所を、一度見直してみてください。窓辺の位置を少しずらす、箱に乾燥剤を一つ足す。それだけで、花の持ちは目に見えて変わってきます。